こんにちは、こんばんわ。うどんマン(@udonman1989)です。
ソフトバンク・ビジョンファンドに密接関係するサウジアラビア問題や多額の有利子負債・米国通信会社の買収失敗など話題が尽きないソフトバンクですが、多くの方がご存知の様に今は投資ファンドの運営にも乗り出しています。
今回は、通信会社ソフトバンクとして親子上場する影響とファンドと仕組みについて調べて見ました。
ソフトバンクグループの経営状況
ソフトバンクの決算説明(2018年11月)
売上・営業利益・当期純利益が揃って増加するという理想的な決算となっています。
売上高の増加には、ソフトバンク本体が最も寄与している様です。
営業利益率の改善はSVF(ソフトバンク・ビジョンファンド )事業が牽引
サウジアラビアの政府ファンドの出資を受けているソフトバンク・ビジョンファンドも軌道に乗りつつある様です。
そして、営業利益に占めるSVF(ソフトバンク・ビジョンファンド )事業の比率が45%とソフトバンク・グループの営業利益の大半を稼ぎ出している様子が伺えます。
当初の事業から機関投資家に変わっていく様子は、ウォーレン・バフェットが率いている事で有名なバークシャー ・ハサウェイに重なる所があります。
バークシャー ・ハサウェイは、創業当初は紡績業が中心でした。しかし、保険会社の買収をキッカケとして新聞社・銀行の買収を経てNYSEに上場を果たし今日に至っています。
ソフトバンクの親子上場は時代に逆行?
かねてより噂されていたソフトバンクの通信子会社の東京証券取引所への新規上場が認可されIPO(新規公開株)の募集がスタートしています。
日本の証券市場では、あまり珍しくない親子上場ですが、欧米の株式市場では親子上場の企業はありません。
日本の株式市場でも外国人投資家の株主が増えるにつれてその声は大きくなっており近年は親子上場の企業は少なくなってきていました。
通信会社ソフトバンクのIPO
ソフトバンクグループは、通信事業に特化したソフトバンクが新規上場する事により新たな資金調達の方法を手にしたと見る動きもあります。
ソフトバンクグループの2018年11月時点での有利子負債額は、17兆円にも上っています。
ソフトバンクが上場する事で、ソフトバンクグループ本体は、
- 子会社株式を株式市場で売却する事により資金調達が可能
- 携帯電話の通信事業が好調な内に事業価値を現金化しキャッシュフローを改善する
といったメリットを受け取る事が出来ます。
携帯電話の通信事業は、菅官房長官による値下げ要請や楽天モバイルの新規参入及び格安SIM(MVNO)との競合・次期通信規格の5G回線への対応に向けた新規設備投資など様々な収益性の悪化を予測させる様な材料があります。
よって、現在のタイミングで事業の価値を現金化するという判断には合理的な判断理由があると考えられます。
次章では、現在ソフトバンクグループの主要事業になりつつあるソフトバンクビジョンファンドの概要についてみて見ましょう。
ソフトバング・ビジョンファンド
ここからは、現在ソフトバンクグループの主要事業になりつつあるソフトバンク・ビジョンファンド事業とはどんなものなのか?という点にスポットを当てて見たいと思います。
まずはじめに、ソフトバンク・ビジョンファンド の経営理念についてですが、HPによると
情報革命を加速する群戦略
ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業では、情報革命の次の段階の基盤となり得る事業の構築のためには、これまでにない大規模かつ長期的な投資が必要であるという確固たる信念の下、次世代のイノベーションを引き起こす可能性のある企業やプラットフォーム・ビジネスに対して投資を行っています。
と宣言されています。
ソフトバンクビジョンファンドの概要
ソフトバンクビジョンファンドは、以下の様な図式で運営されている様です。
画像引用:ソフトバンクHPより(以下同様)
ソフトバンクビジョンファンドの出資先のUber・WeWorkで問題が頻発
ソフトバンクの大部分の利益を占めてきたビジョンファンドですが、出資しているUber・WeWork・SlackなどのIT企業で次々と問題が発生してきています。
ソフトバンク、ウーバーとウィワークで50億ドル以上の損失https://t.co/9bttueRkb1
— 藤原直哉 (@naoyafujiwara) October 8, 2019
WeWorkが技術職500名を解雇へ https://t.co/48bcTBmY6O
— TechCrunch Japan (@jptechcrunch) October 9, 2019
技術を売りにした会社が技術者を解雇するという矛盾でWeWorkは今後どうなってしまうのでしょうか?
通信会社を分離したソフトバンクにとって、ビジョンファンドは利益の要です。
ビジョンファンドの失敗は、ソフトバンク自体の経営問題にも波及するほどのインパクトがあります。
ソフトバンク・ビジョンファンドの収益構造
LP投資家
LP(=Limited Parter リミテッドパートナー)の略称で出資者や投資家を示した呼称となっています。ファンドに運用益が出た際に分配金を得る事ができる立場です。
SBIA JP ・SBIA US・SBIA UKとは?
SBIA(=Soft Bank Investment Advaicers ソフトバンク・インベストメント・アドバイサーズ)
GP SBIA UK(ソフトバンク・インベストメント・ユナイテッドキングタム=イギリス)
JP(日本)、US(アメリカ合衆国・米国)
GP=ゼネラル・パートナー
キャピタルコール・キャピタルコミットメント
キャピタルコールとは、ファンドが投資家達に資金の出資を求める事を表します。
前提条件:キャピタルコール方式の投資ファンドでは、出資する額の上限は投資家毎に決まっている。(出資上限額の事をキャピタルコミットメントと呼ぶ)
ファンドの求めに応じて出資者(投資家)達は下記のいずれかの方法によってお金を出資します。
- ファンドに参加時、全額を出資する
- 規定のスケジュールに基づいて出資
- ファンドからの要求に基づいて順次出資
投資ファンドがキャピタルコールを選ぶメリット
キャピタルコール方式は、投資ファンドの求めに応じて投資家達が資金を出資します。
よって、投資ファンドとしても必要なときにキャピタルコールをかければ良いので無駄な資金を抱えるリスクが少ない・内部収益率(IRR)などのメリットが多いためキャピタルコール方式が選ばれる事が多いと考えられます。
LPA(Limited Partnership Agreement)=出資コミットメント
HPの発表を見る限りは、ソフトバンク本体より外部の投資家の出資比率が高い事が確認出来ます。
出資コミットメントの分類
出資コミットメントは、
- 成果分配型出資コミットメント
- 固定分配型出資コミットメント
の2種類に分ける事が出来ます。
成果分配型コミットメント
成果分配型コミットメントは、ビジョンファンドの運営が上手く行けば多くの利益を手にする事ができるという出資コミットメントです。
一般的に投資ファンドへの出資としてイメージされるのは成果分配型コミットメントを指し示す事が多いです。
投資成果の分配は、後述の固定分配型の出資に劣後します。
固定分配型コミットメント
固定分配型コミットメントは、ビジョンファンドの運営の状況に問わず、出資額に対して一定の金額を受け取る権利を約束するという出資コミットメントです。
投資の仕組みとしては、出資額に対するリターンが固定されているので債券や社債・クラウドファンディングなどの金融商品に似た仕組みであると考えられます。
また投資成果の分配は、成果分配型に優先するので利益を優先して受け取る事が出来ます。
ファンドへの影響力の差
コミットメントの差だけに焦点を当てると成果分配型コミットメントにメリットは少ない様に感じられます。
基本的にファンドは、多くの金額を出資したもしくはファンド運営をするにあたってリスクを取った投資家の発言力が重視される事が予想されます。
前項で確認した様にソフトバンク・ビジョンファンドに対するソフトバンク本体の資金拠出額は過半数には達していません。
しかし、実質的な投資判断はソフトバンク・インベストメントのイギリス法人=(ファンドのジェネラルパートナーが握っているという点から考えると、
コミットメント別の利益分配
投資成果がプラス
投資成績がプラスであれば当然、成果型分配の投資家は大きなリターン・固定型分配はあらかじめた決められたリターンを手にします。
投資成績がマイナス
投資成績がマイナスの場合は、成果分配型の投資家は利益を手にする事は出来ません。一方で、固定分配型の投資家は、利益を予め合意した利益を手にする事が出来ます。
SVFのビジネスモデル
投資の流れは、
- 投資家を集める
- 投資先を探す
- 投資先の業績を改善して利益を最大化・分配する
実際の収益モデルは以下の方法で達成を目標としています。
ソフトバンクビジョンファンドの運営
Point ! 固定分配型の出資者は、運用益が出なくても分配金を得られるということです。
ソフトバンクビジョンファンドのビジネスモデルは、上図の様な流れを経て構築されている様です。
投資先の選定・収益を得る方法は?
- これは、成長余地のあるベンチャー企業にいち早く出資して株式公開などを通じて収益を得る事を目標としていると推察出来ます。
- 投資期間が短い=早期での上場もしくは別の投資ファンドに高値で引き受けてもらうといった手段が考えられます。
- 限られた資本(ソフトバンクビジョンファンド の資金)にこだわらず+αの外部資本(銀行などからの借入)を組み入れて、資金面での成長の阻害は無くそうという意図が感じられます。
上図で確認したことでいずれの方法にも共通することは、あくまで成長余地のある分野の創業初期に資本を投下し短期間で収益をあげてもらうという考え方です。
つまり、投資ファンドとして永久的に投資先の株を保有する様な運用ではないと考えられます。
投資先として発表している会社
IT分野・農業分野・自動運転などこれからの成長が期待される分野に投資していると考えられます。
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