こんにちは、こんばんわ。うどんマン(@udonman1989)です。
当ブログではこれまで株式の恐怖指数あるVIXと原油版恐怖指数であるOVXについて解説してきました。
今回は、債券版の恐怖指数である、MOVE指数について見ていこうと思います。
MOVE指数とは?
MOVE指数とは、指数が上昇した際に債券市場が荒れることから債券市場の恐怖指数と呼ばれています。
MOVE指数は、バンク・オブ・アメリカメリルリンチが算出して公表しています。
英語で表記すると「Merrill Lynch Option Volatility Estimate」となることから単語の頭の部分をとってMOVE指数と投資の世界では呼ばれています。
由来としては、ハーレーバスマン氏がメリルリンチに在籍していた時代に指数を開発したことが由来となっています。
MOVE指数はどの様にして算出されるのか?
MOVE指数は、米国債の1ヶ月先物のオプションにおけるIV(インプライド・ボラティリティ)を2年・5年・10年・30年のイールドカーブで加重平均して算出されます。
IV(インプライド・ボラティリティ)は、市場参加者のオプション市場におけるプレミアム料を数値化したものであり、将来価値における期待を表す指標です。
噛み砕いて言うと、近い未来に相場が荒れそうならIVは上昇するということです。
IVについてもっと知りたい方は「IV(インプライド・ボラティリティ)って何なの?という記事」で詳しく解説しています。
米国債オプションボラティリティーについて検証
この段落は、CMEグループのHP内容を参考にしています。
米国債の利回りを見る際には、2年の短期と30年の長期に注目されることが多いです。
金利を見る上で大事なことは、金利の高低と長期と短期の金利差です。
cmeのホームページを参考にすると株式と債券のボラティリティには、以下の4つのサイクルがあることが述べられています。
- 景気後退期:景気が後退期入りするとともに利回り曲線の平坦化が進行・ボラティリティーが高まる。中央銀行は、ボラティリティを下げるために政策金利の引き下げを余儀無くされ、利回り曲線のスティープ化が始まる。
- 景気回復初期:低金利とスティープ化した利回り曲線によって景気が刺激されて、ボラティリティが低下する。
- 景気回復中期:失業率が低下して、株式と債券市場それぞれに安定感が出る。FRBは政策金利の引き上げを実施し、利回り曲線の平坦化を目指す。
- 景気回復晩期:景気拡大の最終局面では、FRBは政策金利の継続的な引き上げを持続する事で利回り曲線が平坦化してボラティリティが低下する。しかし、ボラティリティが一度上昇すると、急速で大規模な動きが生じる可能性がある。
BPsとは、債券や政策金利のによく用いられる表現で、1bp(bps)=0.01%の単位です。
スティープ化とは、償還期間の長い国債の金利が上昇し,短期金利の利回りが低い時にグラフが立ち上がる事をいいます。
逆に短期金利と長期金利が逆転する現象のことを逆イールド化と呼び、景気後退のサイン呼ばれることが多いです。
詳しい内容は、逆イールド化の記事を参考にして頂ければと思います。
CMEの資料の読み方としては、横軸にVIXとMOVE指数の数値・縦軸に米国債のイールドカーブ曲線の金利差の2年間平均が取られています。
少し古い資料となりますが、現在の相場は低金利と低ボラティリティが特徴的な相場であるので景気回復晩期から景気後退期に向かうサイクルの途中であると考えられます。
補足:米国債の持つ特徴
米国債は、無リスク金利とも呼ばれ主に株式相場などのリスクが高まる時に世界中の投資家の資金の逃避先の一つとしてよく利用されます。
米国債が資金逃避先として人気の理由は、世界一の経済大国のアメリカの財務省が発行している債券であり、債務不履行デフォルトリスクが低いけど極端に金利が低い訳でもない、点が背景にあると考えられます。
株式の恐怖指数VIXと債券の恐怖指数MOVEの比較
VIXとMOVE指数の同じ期間の高さ比較してみました。
画面を見る限りは、そこまでの相関性を感じることは出来ません。ただ、2021年3月の直近では株式のボラティリティと債券のボラティリティ指数が逆転しつつあります。
あくまで個人の見解ですが、債券売りの株式買いの流れが背景にあるのではないかと推察しています。
MOVE指数の見方は?
MOVE指数は基本的には低い数値で安定していて、中央銀行の金融政策や景気の先行きが不透明視されるなど金利が不安定になりボラティリティ(変動性)が大きくなると急騰する傾向があります。
債券市場の不安定性が高まる=将来のリスク増えるにつれて指数が上昇することから債券版恐怖指数と呼ばれます。
株価指数の恐怖指数であるVIXは上昇すると株価は暴落しますが、MOVE指数は上昇した場合金利が上昇もしくは下落する両方の可能性があることを覚えておきましょう。
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